ウェレガトというキャラクターについて-宝石の国12巻感想-
宝石の国にはウェレガト(ヒメ)(カンゴーム)(ゴースト)(アンターク)というキャラクターがいる。
多分読者の中でこの子がやっていることを全肯定できる人は少ないだろう。そういう憎まれ役的なキャラだ。特に10巻〜12巻では
しかし、私は10巻ぐらいまではウェレガトの行動についてある程度の納得を得て、結構好きなキャラだなと思ってさえいた。ただ、12巻を読んで(特装版の冊子も読んで)やっぱ「嫌い」になってるかもな・・と思った。
好きな作品に嫌いなキャラがいるのは辛い。おっとりとした性格だから
というわけで、今回はウェレガトの精神分析を順を行うことで(専門家ではないので、適当です)12巻の行動に至るまで納得を得たいと思う。
①黒い中の子時代
彼の暗黒時代と言えるだろう。
ゴーストは決して悪い石ではないが、しかし体の主導権を奪われているというのは辛い。暴力である。
ゴーストの性格に関わらず、ウェレガトの一挙一動に他者の許可が必要な状態は人間社会で例えていうなら過保護な親と子供のような問題を抱えているのだろうが、物理的に離れられない分も含め深刻である。いや過保護も深刻だけど
金剛はなぜ最初から分離しなかったのでしょうか。技術的に不安があったのかな
②カンゴーム時代
暗黒時代ではないと思う。
ただ、私はここで不自然を感じた。それは作中でエンマに指摘されたようにゴーストの存在によるものだと思うが
「解放された喜び」が描かれていないのだ。
いや、ゴーストがいなくなったことはウェレガトが一番辛かっただろう。しかしその憂鬱と共に身体の自由が訪れているわけで。多少はその複雑な感情が描かれていないと物語として欠陥していることになってしまうと思う。
実際には解放されていなかったというオチ。
しかしゴーストが残した意思はウェレガト自身のラピスに対する執着をフォスに重ねる、というただ一点のみだと思う。
ラピスに対する思いは早まって三機同時出現に突っ込むあたり、ゴーストと同等以上だと思うので。
③ヒメ時代
バンザイ☆VIBA☆解放☆
ラピスに対する好意とフォスに対する好意を重ねたゴーストの残滓により、フォスに対する異常な献身をしていたウェレガト。大事だったはずのラピスの頭まで捧げてしまうわけだ。眼の中のゴーストがラピスとフォスを同一視してるから。
(ウェレガト単体ではラピスとフォスを同一視していなかったと思われる。)
で、月でエンマの助けを受けついにゴーストからの完全な解放を果たす。
これは気持ちいいですよォ!
多分、ゴーストの喪失と共にゴーストの意思から解放されていたら、ウェレガトもウェレガトなりにフォスを守っていたはず。ゴーストはウェレガトにとって大きな存在ではあるので、ゴーストにとって大切なフォスを守るぐらいはやると思うのだ(最後の言葉でもあるし)ラピスの頭はあげなかったと思うけども。
でも実際はそうはならなかった・・。実際には
FEVER
だったわけだ。
ここでも不自然に感じる点はあって、解放以降ウェレガトはフォスに対する執着だけではなくラピスに対する執着も捨ててしまったのである。エンマお前何をした?
この疑問は今に至るまで解決できていません。だからウェレガトに対する気持ちが整理できないのですが・・。
でもゴーストがいなくなったことがウェレガトの自由な石生に貢献したということが描かれて嬉しかった。死を描いている。死んでないけど
④ウェレガト時代
月人になれて君はよかったね。
ウェレガトは一貫してフォスとゴースト以外には優しい。
そして自由と幸せを得たことでゴーストにも優しくなっている。
ゴーストがウェレガトを閉じ込めていたのは「天災」だからね。
フォスは過去にウェレガトのゴースト部分に付け込んでるからな・・。優しくしなくてもいいです。
しかし宝石(と肉)が月人の悲痛なわがままによって消えるのはどう思ったのだろうか。その辺は同化政策がうまくいってしまったのですかね
なんか辛くなってきたな
でも全て終わったことです。
ウェレガトの石生が(人生っていった方がもはや正しい気がする)我慢や過去への後悔に満ちたものにならなかったならよかった。